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連続小説

クローゼット

手伝おうとしてくれる気持ちはありがたいが、まだ僕としても何をするか考えている所だから、具体的にこれをしてとは言えない状況だ。
それに、和室はそんなに広くない。
4畳半しかない所に机と本棚が入っていて、それに居間で使わない物が押し込まれている。
1人でも狭いと感じるくらいだから、3人では作業にならないだろう。
ただ座っていてもらうのも申し訳ないと思い、取りあえずテレビを点けてやる。
夕方に放送されるアニメが丁度始まった所で、テンポの良いテーマソングが賑やかな映像と共に流れていた。
彼女が観るかどうかはわからないが、少しでも暇つぶしになればいい。


「さてと、まずはこの辺のを外に出すか。
アコが片付けてくれたからほとんど運ぶだけだな」


今でこそ床が見えているが、元はひどい有様だった。
戸が閉められるのをいいことに、すぐ使わない物や脱いだ物なんかをなんでも放り込んでいたから、アコが掃除をする前は自分でも引いてしまうくらい散らかっていた。
おかげで居間がひどく散らかることは無かったが。
それをアコが衣類はきちんと洗濯をしてクローゼットに片付け、散乱していた本を本棚に並べ細々した雑貨はひとまとめにして、ごちゃごちゃしてはいるが汚いと感じることは無い。


「えへへ」


褒められたと感じたのか、アコは嬉しそうに僕に微笑んだ。


「とりあえず大きいものから運ぼう。
アコはその辺の細かいもの、何か・・・ビニールとかそんなんでいいからまとめてそっちに置いてくれ」


僕はとりあえず目に付いたファンヒーターを両手で持ちあげる。
忙しくてすっかり忘れていたが、そろそろ寒さに耐えきれなくなってきたし出そうと思っていたのだ。


「ビニールでいいんですか?
後でわからなくなっちゃいませんか?」


僕の指示を受けたアコだったが、驚いた顔でこちらを見る。
おそらく僕の指示があまりにも大雑把だったからだろう。
意外と僕はそういう人間なのだ。
だからこの和室が散らかってしまったわけだし。
誰に似たのかアコはそうではないようだった。
そういえば、居間の隅にまとめられた荷物もきちんと本は本で重ねてしかも漫画と雑誌と専門書籍類は別に、DVDはDVDと、ゲームはゲームと言った感じで同じような物でまとめられている。
よく見たら請求書やらダイレクトメールもきちんと分類されて輪ゴムで留められていた。
少し細かすぎる気もするが、出来る子なのだろう。
そう言えば僕はしっかり者属性の幼馴染とか、結構好きなんだよな。
アコは家事が得意で面倒見が良くて、そんな感じがする。
もしかしたら彼女の性格は僕の好みのタイプが反映されているのかもしれない。
まあ、ここまで細かいのはやり過ぎとも思うが。


「あー、ええと、じゃあ、アコが良いようにやってくれていいから」

「はい!
わかりました!」


いい返事をしたアコは、足元にあった延長コードや何かの充電器類を集め始めた。

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