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連続小説

興味が湧いてきてしまった

宇宙人は悪びれもせず、しれっとそう言った。
彼女にとってそんなこと当たり前で、何を今更驚いているのかと逆に驚かれたような感じがして、なんだか釈然としない。
だがよく考えてみれば、あのタイミングで「UFOです」なんて言わないか。
まだお互い友好的かどうかもわからないし、そもそもあのタイミングでUFOを出す意味が解らない。
きっと、え、なんで!?ってなるし身の危険も感じるだろう。
相手が宇宙人だってことで警戒もしていたからな。
彼女はあの時は本当にメモを取るためにこの発光体を出現させたわけだし、僕を警戒させる可能性というデメリットを考えても、敢えて「UFOです」なんて言う必要はなかっただろう。
あ、なんだか納得できてきた。


「そっか、そうだよな」


僕は大人の対応でその場を収めた。
宇宙空間を移動できる乗り物なんだから、メモ機能だって有りだよな。
メモ機能なんてガラケーにだってあるんだし。
というか、メモ機能付きUFOはもしかしたら宇宙ではそれこそよくある事なのかもしれない。
付けるの簡単そうだし、付いていて損はないだろうし。
彼女の所有しているそのUFOは発光していて全容はわからないが、手の平に収まるくらいの大きさに見える。
これなら持ち運びも簡単だし、そりゃメモ機能も持っちゃうわけだよ。
きっと僕らのスマホみたいなものなのだろう。


「他にも色々できたりする?」


考えていると僕はすっかりその発光体に興味が湧いてきてしまった。
元々好きなのだ、携帯電話やスマートフォンが。
こだわりもあるし、最新機種のチェックは欠かさない。
使いこなせているかと言われると自信はないが、とにかく好きなのだ。
それに元々SF好きな僕である。
そんな僕が好きな物と好きな物が掛け合わさったそれに興味を持たないわけがなかった。
今や僕にとって、この発光体は完全に宇宙のスマホだった。


「通話・・・てか通信か、そういう事はできたりすんの?
あとあれだ、メモって録音って事?
もしかして映像だったり?カメラとか付いてる?」


ぽこぽこと頭の中に浮かぶ疑問が次々と口をついて出てくる。
宇宙人は微動だにせず、僕から見たら真剣に聞いてくれているように見えた。
自分が好きな話題だから、都合の良い方に捉えてしまうだけかもしれないが。
頭上では発光体がけたたましく機械音を発している。
きっと聞き漏れがないよう、メモを取っているのだろう。


「ちょっと!
ちょっと待ってください!」


不意に目の前に現れた影が僕の左の瞳の下半分と口を塞いだ。
行き場を失った言葉が空気と共に詰まって逆流する。
話はこれからだって言うのに、一体どういうつもりだろう。
唇に圧力を与えるその主を、僕は横目で見た。

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