さよならアコ

白いニットワンピース

「これ、見たことないです!こんなのあったんですね」


アコは僕の手渡した白いニットワンピースを広げると、それをまじまじと眺めた。
去年の冬物セールで一目惚れして購入したものだが、丁度季節の変わり目ということで日の目を見ることなく仕舞いこんだものだ。
大きな縄模様でざっくりと編まれたカジュアルだが女の子らしさもあるそのワンピースは当時月9でやっていたドラマでヒロインが着ていたものに似ており、僕は正直なところ、その女優がかなり好きだった。
普段アコの服を選ぶ際そういったものに寄せるということはないのだが、冬物セールで大幅値引きされているということもあり僕はかなりうきうきした気持ちでそれを購入したのだ。
だが、それは冬も終わり、春に片足を突っ込んだ頃だった。
その頃にはもうかなり温かく、すでにニットなど着る時期をとうに過ぎていた。
大幅値引きされているわけである。
まぁ別に、ラブドールなのだから自分の好きな服を好きな時に着せればいいだけの話ではあるが、僕はなぜか季節感に強いこだわりがあり、日の目を見ることはなかったのだ。
あれからもうあと2カ月もすれば1年になるが、最近は専らコスチューム系に走ることが多かったため危うく今年も仕舞ったままになるところだったが、デートにも大活躍のお洒落着として流行していたそれは今こそ出番だろう。
去年の流行ではあるが古臭さを感じないデザインで、尚且つ現在季節も冬の暮れ。
まだ寒い日も多く、街中はまだまだコート姿で溢れているからして、ニットを着ていても何ら違和感のない時期なのである。


「ああ、あったんだよ。
それなら温かいし派手すぎないし出かけるのにぴったりだと思うぞ。
あとこれね。
着替えたら声かけて」


僕は黒のストッキングをアコに渡し、寝室を出た。
今までなら僕が着せているところだが、今は自分で着ることができるのだ。
あまり時間をかけることなく扉が開く。
臀部をすっぽりと包む白いワンピースから、黒い影が足のラインを際立たせるスラリと伸びた足が真っ先に目を引いた。


「どうでしょうか?」


もじもじした様子でアコが僕の反応を窺う。
少し大きめのそのワンピースはアコの柔らかな雰囲気に絶妙にマッチしており、実に可愛かった。
袖が長めだが、それがまた良い。


「似合うよ」


僕はなんだか照れくさくて目を反らしながら、彼女にそう言った。
目を反らした先には彼女の大きな胸が、ニットの網模様を歪めていた。
ゆとりのある大きさではあるが、アコの豊かな胸には窮屈のように見える。
それはどの服にも言えることなのだが、網模様の伸びはそれを大きく際立たせてしまう。
しかしこれはこれで、有りと言えば有りなのではないだろうか。
僕的には有りだ。
というか、寧ろ裸よりもエロいかもしれない。
僕はとんでもない兵器を生み出してしまったのではないだろうか。

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