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連続小説

よいしょ

「ビニールがだめなのはわかったよ!
そのうち棚・・・いや、引き出しの方がいいかな・・・
そんな感じのを買おうな」


幸い、家具が少ないおかげで置き場所はある。
今はまだ僕の物しかないが、これからアコの物や宇宙人の物も増えるだろうし沢山入るものがいいだろう。


「ええと、あとは雑誌か」


僕は部屋の一角に積まれた雑誌に手を掛けた。
学生時代からずっと購入している週刊誌だが、実を言うとこの家に住み始めてから一度も捨てたことがない。
古紙回収は朝が早くて面倒なのだ。
腰ほどの高さまで積まれた雑誌はここだけで10ほどの山になっていた。
まるで壁のように積まれたそれは、手前に置かれていた雑貨類が無くなると圧倒的な存在感を見せた。
これはあくまでも和室だけで、居間にも同じ雑誌がいくつかの山になっていたし、寝室にも同じような山がある。
ついでに言うと、押入れの奥にもあるのだ。


「そろそろ捨てなきゃな・・・」


山の3分の1ほどを両手で抱え、僕はため息をついた。
今持っている雑誌の山の一番上の表紙、そこに描かれた絵はもう4年も前に連載が終了した漫画のキャラクターだった。


「捨てちゃうんですか?」

「捨てちゃうねぇ、雑誌だしね。
読みたいのは単行本買ってるし、本誌は嵩張るからね」

「そうなんですか・・・とっておく本と、捨てちゃう本があるんですね。
なんだか、もったいないですね」

「そうかなぁ・・・雑誌なんてそんなもんだ」


雑誌を捨てるのがもったいないなんて考えたこともなかったが、そう言われると確かにそうかもしれないと思った。
いや、改めて考えるまでもない。
買っても何度も読み返すものじゃないし、同じ漫画を後々単行本で買ったりするのだから。
以前はそれでも連載されているすべての漫画を読んでいたが、最近は忙しくて結局読みたいものだけしか読めていないのだ。


「そろそろ卒業も考えておくか・・・」


そうは言うものの、おそらく僕は今週も買ってしまうだろう。
過去に何度か、捨てるのが面倒という事で買うのを辞めようと思ったことがあった。
しかし身に染みてしまった習慣というのは恐ろしいもので、知らず知らずのうちに何故か手に取り会計を済ませ家に帰ると買い物をした中にごく自然に入っているという事が何回かあって、辞められずにいる。
だがそれも散らかしておける場所があったからというのもあるのだ。


「よいしょっ」


抱えた雑誌の上にたわわな膨らみを載せながら、重たそうな様子で雑誌を運ぶアコを見ていると、今までのように溜め込むわけにはいかないと重々思うのだ。
延いてその姿は近いうちこの雑誌たちを1階の収集スペースへ運ぶ自分の姿と重なるのだから。
いったい何回に分ければ終わることやら。
考えただけでも腰が痛くなってきそうだ。

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