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連続小説

人生半分くらい損してるよ

僕は念を押すように、「布団はいいぞ」と付け足しておいた。
この言葉に嘘はない。
布団というのはいいものなのだ。


「特にUFOでなければならないという事はありません。
布団という物は使ったことがないので、不都合があるかどうかはわからないですね・・・
人間がそれに横たわっているのは何度も目にしているのですが。
ああ、そう言えば貴方もそうでしたね」


その言葉を聞いて、僕は声を荒げた。


「な、なんだって!?
布団を知らないだって!?
あんた人生半分くらい損してるよ!!」


これはかなり大袈裟だが、まあなんというかノリだ。
僕の横でアコが「ご主人様、そんなにお布団が好きだったんですね・・・」と少し引いている。
そんな目で見ないでほしい。
しかし、つい勢いで大袈裟に言ったのだが実際のところほとんど間違いではないと思う。
人間なら人生のうち、半分以上の時間は眠っているのだ。
宇宙人の睡眠時間がどの程度かは知らないが、睡眠をとるのであればすべては理解されないとしても少しはわかってもらえるだろう。
ただ割合が変わるだけだ。
僕は知っている。
睡眠がどれだけ大切かという事を。そして、その睡眠には布団が欠かせないという事を。
それは僕がアコと出会うよりずっと昔の話だが、まだ一人暮らしを始めたばかりの若造だった頃だ。
長くなるので割愛するが、要するに布団で眠るのを怠った結果僕は自分の身体を壊しかけたのだ。
これは一例であってすべての人に当てはまるとは限らないが、僕は人生を立て直せたのは布団のおかげだとすら思っていた。
これまた大袈裟だが。
僕は既に手遅れ感はあるが、思わず熱が入りそうになる所をぐっと堪え、あくまでも平静を装った。
僕の布団熱についてはアコも理由を知らないし、せっかくだから話してもいいのだが長くなるだろうから、取りあえずネタと思わせておこう。


「まあ、その、なんだね。
普段はどのような所に身体を置いて寝ているのかな?」


平静を装うつもりが、何故か口調がおかしくなってしまった。
これは僕の勝手な空想の中の、頭のいい人の喋り方だ。
できたら指摘して皆で笑い飛ばしたい所だが、流石宇宙人、スルーである。


「寝ている間に身体が無くなっては困りますので、出来るだけ人通りの少ない場所で人目に付かない場所に隠しています。
初めは人のいない山中に隠していたのですが、思いのほか野生動物の被害が甚大で・・・最近は専ら繁華街ですね。
路地裏の隙間やまとめられた廃棄物の中、入ろうと思えば入れるところが多いので。
昼は人が少ないし、夜もわざわざ暗い路地に入る人はあまり居ないので」


僕は言葉を失った。
思っていたよりもひどかったからだ。
彼女の言い分はわかるし、理に適っているのだろう。

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