連続小説

条件

ずっと気になっていたのだが、宇宙人はアコのことをそれと呼び、時にまるでそこにいないように、というか取るに足らないもののように、まるで物のように扱うのだ。
宇宙人からすればアコはラブドールで、人間ではないから対等ではないのだろう。
ここまででもそれは何度も思った。
自分が生み出した生物で、それもまだ実験段階にある。
だから、と言っていいのかはわからないが対等に扱うべき生き物ではないのかもしれない。
実験動物と研究者、とでも言うのだろうか。
僕はそういう立場や職業を経験した事がないからこれはあくまで想像だ。
でもきっとそういう感じなのだろう。
だがしかし、だ。
そもそも一緒に住もうと提案してくれたのはアコなのだ。
アコ自身が宇宙人からの扱いをどう思っているのかはわからない。
見ている感じでは気にしていないのか、それとも気にしない様にしているのか、そもそも気付いていないのか、アコは少し抜けた所があるし優しいからな。
僕はそのアコの優しさが一方的な物になってはいけないと思った。
アコが気にしないとしても、僕が嫌なのだ。
僕の大切な家族をぞんざいに扱われるのは。
今、宇宙人はアコを見ている。
これはチャンスだと思った。
僕はぽかんと口を開けたままの宇宙人を見て、それからアコに言う。


「彼女がふたつ、守ってくれたら僕は一緒に住んでも良いよ」


二人が同時に僕を見る。
条件を出したことに驚いたのだろうか。
ああ、そう言えばまだ宇宙人の返答は聞いていない。
まぁ、いいか。
僕は彼女が一緒に暮らしたがっているという前提で回答を待たずに話を続けた。
これで断られたら格好が付かないが、こういうのはちょっと強引なくらいでいいのだ。


「ひとつは僕らの監視をやめること。
カメラ機能はオフにできるって言ってただろ。
ひとつ屋根の下で暮らすんだから、四六時中監視する必要はないだろ?」


一体何を言い出すのだろうという戸惑いの表情を浮かべていたアコだったが、僕のひとつめの提案によくやったと言わんばかりに親指を立てた。
アコとしてはそんな裏は無かっただろうが、カメラが無くなるに越したことはないのだろう。
宇宙人はと言えばそれを聞いても相変わらずぽかんと口を開けている。
初めは口以外が真顔なのがなんとも不気味だったのだが、見慣れたのかそれとも些細な変化があったのかだんだんと間抜けに見えてきた。
しかしこんなに長い間口を開けていて疲れないのだろうか。
もしかして顎が外れてしまったのだろうか。
心配になってきた僕がじっと見つめると、ようやく口を閉じてちらりと出した舌で唇をひと舐めした。
きっとしばらく開けていたから乾いてしまって、いざ話そうとしたら話しにくかったのだろう。

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